個人プロフィール

中川 登紀子(なかがわときこ)
東京大学工学部、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻修士課程を経 て、大手外資系化粧品会3社にてヘアカラー・ヘアケア製品の研究開発・マーケティングを担当。在職中に色彩学やパーソナルカラーを取得。201010月独立し、パーソナルヘアカラー研究所を設立。工学修士。日本色彩学会正会員。趣味は登山とスポーツジム通い。

 

. 現在のお仕事の具合的な内容は?

主にパーソナルカラーアナリスト・色彩講師・美容師を対象にヘアカラーの色彩学・科学・似合わせを教育しています。また、ヘアカラーに関する教材を制作したり、調査研究活動も行ったりしております。

 

. 今のお仕事に携わった経緯は?

化粧品会社でヘアカラー剤の研究開発に携わる傍ら、色彩学やパーソナルカラーを学んだり、色彩に関連する情報を発信したり、カラーアナリストのコミュニティを作ったりしていました。起業する時はヘアカラーをメインにするつもりはなかったのですが、カラーアナリスト仲間から「ヘアカラーを教えて欲しい」といった依頼が多く、いつのまにかヘアカラー教育がメインになっていました。


. 使用するカラーコード・システム、参考資料などは?

ヘアカラーはほとんどの場合、黒から茶色の範囲での微妙な色差の表現となるため、市販されている色見本では対応が難しい場合が多いです。パーソナルヘアカラー研究所オリジナルのヘアカラー色見本や日本ヘアカラー協会のレベルスケールを用いたり、人毛の毛束とヘアカラー剤を購入して自前で染色したものなどを用います。

 

. 業界特有のセオリーやタブーは?

会社員時代の話ですが、パーソナルカラーを学んで間もなくヘアカラー剤の研究開発に携わるようになった当時は美容師さんとのコミュニケーションがうまくいきませんでした。例えば、「もっとウォームな色が欲しい」と美容師さんから言われて、黄色の色素を増やしてサンプルを作り持って行ったら「ウォームって言ったのにどうしてクールにするんだ」と怒られたことがあったんです。

普段自分たちの業界で当たり前に使われている言葉は、他の業界で全く異なる意味や範囲で用いられる場合があります。自分の業界の常識が、相手の業界の常識だと思って仕事をしないように気をつけています。


. 必要とされるスキル(教育・知識・技術等)、経験は?

色彩学・毛髪科学・香粧品科学の知識は必須です。さらに今はフリーランスですから、基本的なマーケティング・ITスキルや対人能力もおのずと必要になってきます。

 

. 日々の情報収集や努力している物事は?

新聞や業界誌、毛髪関係・色彩関係の新刊などはできるだけ読むようにしています。業界の全体的な動向を掴むだけでなく、美容室経営者や美容メーカーの立場に寄り添うという意味でも情報収集は重要視しています。また、CBNのカラーサロンや大学の同窓会など、質の高い交流会にはできるだけ参加し、同業種・異業種問わず色々な方と情報交換をすることも心がけています。

 

. 同様の仕事を望む学生や一般の方へのアドバイスは?

最近はパーソナルカラーやカラーセラピーが身近になり、勉強する方も増えてきました。生涯教育や習い事の一環として色彩の世界が広がってきているのは大変素晴らしいことです。一方で、「資格を取れば手に職」といったプロモーションが増え、少し勉強をすれば仕事ができるものと錯覚しがちな仕事でもあります。

どんな仕事でも、一人前に仕事をするのであれば、何年という下積みが必要です。プロへの道に近道はありません。好きだから、憧れだから、だけではなく、徹底的に関わっていく覚悟が必要です。

 

. 仕事で利用する七つ道具を教えて下さい。

  ヘアカラー色見本・ヘアカラーチャート

    教育・提案に使っています。ヘアカラーは言葉だけではイメージがつきにくいので、ビジュアルのツールはク    ライアントにも喜ばれます。

  ヘアカラー剤

    10のメーカーのカラー剤をのべ200本以上取り揃えています。主なメーカーの色の特徴を把握しておくことは    美容師さんへの提案や話題作りに役立ちます。

  iPad

    商談や少人数のセミナーで写真を用いたプレゼンテーションを行うのに便利です。外出先でもちょっとした仕    事ができますし、スケジュール管理もできますので、大変重宝しています。

  Photoshop Illustrator

    ヘアカラーチャートなどの教材を作る際に欠かせないソフトです。

  Wordpress

    ホームページやブログ、オンラインショップの運営がカンタンにできるので何年も重宝しています。営業用と    してだけでなく、研究や実験の記録としても活用しています。

  業界誌・書籍類

    良質な情報やインスピレーションを効率的に安価で得られるのは業界誌や書籍類です。良著は手元に残し、調    べ物をする際になどに活用しています。

  

    ヘアカラーを仕事にしているので、髪はまさに広告塔です。ヘアカラーの色やデザインはできるだけこまめに    変えるようにしています。20代の美容師さんから同窓会の大先輩まで、様々な方とお目にかかりますから「個    性的だけど品のある」 ヘアカラーを心がけています。また、ヘアカラーしているから傷んでいると思われない    よう、ヘアケアもとても大切にしています。