カラービジネス/仕事の形態/in-house & FREELANCE

色の仕事の多くは、特定の会社や組織に属することで得られますが、その一方、オフィスなどを開くことで、個人事業主である「フリーランス」の立場で色の仕事に従事している人も多く存在しています。

特定の企業や組織で働く「インハウス」の職務形態では、当然ですが、その企業や組織の商品や制作物に関わる色彩業務に限定されます。

その一方、フリーランスの立場なら、得意な仕事、好きな仕事を選んで行うことが可能です。

一般的には、インハウスで経験を積むことで特定の業種における色彩業務のスキルを向上させるとともに、業界の構造やルール・慣習を理解し、ネットワークを築いた上でフリーとして独立することになります。


カラービジネスに就く/色彩を職業に

一般的に色彩を職業にしようとすると、色に関わる業務を遂行する特定の企業や組織に就職することが考えられます。この場合に対象となる領域は、環境建築から、プロダクツ、ファッション、印刷、食品、美容など、生活分野の大半にわたります。

ところが、幅広く存在している色彩に関わる業務なのですが、色彩だけを専門に扱うポジションはかなり限られています。多くの色彩業務は、より大きなクリエイティブ業務に含まれていることが普通ですので、求人の多くは「デザイナー」や「クリエイター」などに限られて、“色彩が得手である”ことは二次的な技能に数えられることが多いでしょう。

例えばファッション業界では、カラーは重要な要素とされますが、それでも専任の企画職は存在せずに、デザイナーやマーチャンダイザー(MD)などの業務の中に色彩企画が含まれることになります。ファッションアドバイザ-(FA)などの販売職においても、カラーの知識は販売技術の一つとして認識されるにすぎません。

このような状況もあって、色彩を職業にするには、通常は、大学や専門学校で建築や工業デザイン、グラフィックデザインなどを専攻する傍ら、色彩の知識・経験を深めた上で、先ずインハウスとしてのポジションを目指して就活することになるでしょう。

 

フリーランスになる多くの人は、インハウスで経験を積んでから独立してフリーになっています。なぜなら、「色彩検定」や「カラーコーディネーター」などの総合的な色彩資格を手に入れても、その資格をもってフリーの立場で各種のカラーコンサルティングを行うことは困難だという現実があるからです。即戦力になるには、“感性を持って色を選ぶ”だけではない、業界・業種におけるリアルなカラー・プランニングを経験し、慣習やルールを身に付けなければなりません。そのために、インハウスで、経験や知識、慣習・ルールを学び、ネットワークを築く必要があるのです。

ただ、特定分野の資格を得ることでフリーのコンサルとして活躍できる道がないわけではありません。

例えば、個人の身体色を尊重して似合う色を提案する「パーソナルカラー」という領域の場合は、いずれかのパーソナルカラー団体のスクールに学び、その団体が認める資格を得ることで、パーソナルカラーのプロフェッショナルとして独立、開業することが可能でしょう。

もちろん、独立したオフィスを構えても、自力でPRに努めて顧客を獲得しなければなりませんので、安定した収入を得らえるようになるにはそれなりの努力が求められるのは言うまでもありません。


インハウス/IN-HOUSE

特定の業界・業種・企業に就職する

現在、多くの人たちが製造業で色の仕事に従事しています。とはいえ、自動車や家電業界などの大きな企業の場合には、カラーのプランニングを専門に行う組織や役職が存在しますが、多くの企業では、カラーのプランニングはデザイナーなどの企画職の仕事に含まれています。実際、ほとんどの製品に色が付与されることから、業種の間口は大変広く、色彩にかかわる数多いポジションが存在するのですが、その一方で色彩を専門に仕事をしている人は限られてしまいます。

とはいえ、特定の業界・業種・企業に就職することは、色の仕事に就ける早道であるとともに、カラーのプランニングを遂行するための経験を培うことで、企画能力を磨くことができるのです。

何らかの制限や気に入らない仕事を行うことも多い立場ですが、業界で必要とされるスキルをじっくり磨くことができるという大きなメリットがあります。

実務としては、自社商品のカラー選定が中心業務になると思われますが、その他、パッケージや販促ツール、さらには広告やマーケティング、販促イベントに絡む色彩業務なども業務範囲に含まれてきます。ただ、小規模な企業の場合には、事務処理や予算管理なども任されるかもしれません。


フリーランス/FREELANCE

個人事業主として独立する

フリーランス(個人事業主)は、独立した時点から、即戦力となる能力が求められます。そのため前述したように、インハウスから独立する前にしっかりと実務経験を積む必要があります。

一般的に、フリーの個人やそのオフィスは、得意とする分野を持っていますし、持たなければならないとも言えます。環境や建築、店舗、プロダクツ、グラフィック、パッケージなどのデザイン分野の他に、ヘアーやメイク、食品、さらには総合的なカラーコンサルティングなど、主には出身分野の業務が中心になるでしょうが、興味や関心の強い分野なども選択できる自由さが、フリーランスのメリットになります。

インハウスの職務形態は年俸や月収が保証されますが、フリーランスの収入は仕事量に比例しますので、事前に仕事を得られるような人脈や業務ネットワークを築いておくことをお勧めします。

業務自体は、決められた拘束時間がありませんので、自由なスケジュールを選ぶことができますが、往々にして、仕事の締め切りが近づくと大変忙しい生活を送ることになりかねません。なお、フリーランスの方の多くは、大学や専門学校などの講師をされているようです。